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位相空間論の鳥瞰

位相空間論の鳥瞰

概要

位相空間論の基礎からやや発展的な事項までを,できるだけ網羅的かつ自己完結的に,系統立てて解説することを目的とした文書です.(「入門書」であることは意図していないので注意してください.)2017年5月14日に作りはじめ,少しずつ途中経過を公開していたのですが(2018年3月31日,2018年8月13日,2018年10月31日にそれぞれ公開していた.現在非公開),ようやく一応の完成版といえるものができました.

第I部「フィルタ」,第II部「位相空間論」,第III部「一様空間論」の3部構成になっていて,Bourbaki「位相」の第1, 2, 9章(位相代数に関する事項を除く)プラスアルファくらいの内容です.特に,一様空間論をここまで精密に記述した日本語の文書は,「鳥瞰」の他にはBourbakiくらいではないかと自負しています.また,Bourbakiには本質的でない分離性を課している箇所が複数あるのですが,「鳥瞰」ではかなり徹底して本質的でない分離性を排除したつもりです.

極限のノート」,「フィルタのノート」,「商空間のノート」,「列型空間のノート」は,「鳥瞰」の一部を抜粋・再構成し,補足などを加えたものになっています.また,一様空間論の部分は,京都大学理系自主ゼミサークルS2Sが発行する同人誌 B.PROJECT Vol.1(C95で頒布)に寄稿させていただきました(そこから加筆・修正しているので,内容は完全には同一ではありません).

書くべきだがまだ書いていないこととして,写像空間の話があります.また,ゆくゆくはこの位相空間論・一様空間論の内容を基礎として,位相群論と位相線型空間論を系統立てて解説したいと思っています.

更新履歴

2020-04-04: 公開

2020-04-05: Stone–Čechコンパクト化の存在の証明が抜けていたのと,19.3節の見出しの漢字が間違っていたのを修正しました.これらの修正は,yamyamtopo さんから頂いた指摘によります.ありがとうございます.また,その他にも細かい修正をしました.

2020-01-01: 写像空間の章を加えました.また,旧版の第11章「完備擬距離空間と全有界擬距離空間」と第12章「擬距離空間の分離化と完備化」,第17章「完備一様空間と全有界一様空間」と第18章「一様空間の分離化と完備化」,第19章「擬距離族と一様構造」と第20章「一様空間の距離化定理と一様化定理」をそれぞれ結合しました.これにより,旧版の全20章から1増3減して全18章となりました.