C*代数の理論を前提として,連続および連続とは限らない(有界および非有界という方が普通だと思いますが,趣味でこういう言い方をしています)正規作用素のスペクトル分解定理を証明します.一般の連続正規作用素の場合から導出する形で,コンパクト正規作用素のスペクトル分解定理も述べています.応用として連続線型作用素のなす群の弧状連結性,ユニタリ表現に関するSchurの補題,稠密に定義された閉作用素の極分解についても述べています.
2020-09-10: 公開
2020-09-18: 「コンパクト作用素のノート」の公開に伴い,いくつかの引用を変更しました.また,細かい修正をしました.
2020-09-25: 誤植を修正しました.誤植の修正は,hf_725 さんから頂いた指摘によります.ありがとうございます.
2020-09-29: 誤植などを修正し,参考文献の情報を更新しました.
2021-07-11: 線型作用素のHilbert直和に関する命題の誤りを修正し,「Hermite」をやめて「自己随伴」に直しました.また,本質的自己随伴性,線型作用素の簡約,正規作用素との可換性,Stoneの定理,Cayley変換について加筆しました.本当はHilbert空間の内積を左の引数に関して共役線型,右の引数に関して線型と改めたかったのですが,面倒だったのでしていません.
90ページを超えてしまいましたが,まだまだ書くべきことがあります.掛け算作用素や微分作用素の例,単位的とは限らない場合の射影値測度による表現定理,有界Borel可測関数算の像,同時スペクトル測度,テンソル積,自己随伴性の問題など.いつか書き足したいですが,いつになることやら…….
2024-09-21: 構成を見直し,最初から連続とは限らない線型作用素を扱うようにして,重複を減らしました.線型作用素や射影値測度のテンソル積について加筆しました.コンパクトHausdorff空間に対してのみ述べられていた「射影値測度に関する表現定理」を,局所コンパクトHausdorff空間にまで一般化しました.Hilbert空間の内積を,「左の引数に関して共役線型,右の引数に関して線型」に改めました.